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くし刺しにしちゃーうゾ★← 主に創作物を書いていく予定。気まぐれで版権物も書くかもね。
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ヴェラドニア軍・食堂(元・衛兵)ルーカの序章にあたるお話第2章です。


2はルーカの士官学校時代の話という名の、シリアスにハンバーガーされたギャグ話です。
ただだらだら時が流れていくのは面白くないので、
祥助さん宅の桜桃ちゃん、青色さん宅のルシェくん、たまがわさん宅の桜花ちゃんに
物語を彩ってもらいました。

なっちゃん(仁田坂)さん宅のアレクシスさんが再登場しております。
最後にちょろっと星舞さんのレジットさんがでています。

みなさまお貸しくださり、ありがとうございます!この場でお礼申し上げますm(_ _)m


あと変な試みのせいでカタカナのほとんどがイタリア語に(
・一覧
エネルジーア:エネルギー
アウラ:オーラ
ベッラ:美人
グラッツェ:ありがとう
ファンクー○:バッ○ァンクーロの略。馬鹿やろう
○ッツォ:くそっ
トゥラウマ:トラウマ



 
 
これからは独りで生きていかなければならない。子どもの自分では、独りで生きていくのは困難だ。だから、軍の士官学校に入ると決めた。そこだったら、十分に教育が受けられ、尚且つ、真面目に取り組めば5年で軍人になることができ、独り立ちをすることができる。
それに、目覚めたばかりの、異能が誰かの役に立つのはそこしかないと思った。
金だけはあるのだ、入学には困らない。
こうして自分は、13歳で、士官学校の門を叩いた。
 
 
士官学校で思いもかけない再会を果たしてしまった。自分をいじめていた前の学校の同級生たちがいたのだ。自分を見つけると、ニタァと人が悪い顔をし、
「あれ~?「人殺しの息子」のルーカじゃねぇか。久しぶりだなぁ思ったより元気そうじゃねぇか」
周りに聞こえるように、おそらくわざと大きな声で言った。周りがざわつく。
「みんな知ってるかぁ~?こいつの父親殺人鬼なんだぜ!」
みなの視線が突き刺さるのがわかる。だが、自分は強い視線を、いじめっ子たちに向けた。
それが気に入らなかったのか、さらに捲くし立てる。
「お前、あの殺人鬼と同じ能力なんだってなぁ?お前も同じ殺人鬼になるんじゃねーの?」
馴れ馴れしく肩を抱かれ、顔を覗き込まれる。そのせいで至近距離で動揺した顔を見られてしまった。
それに気を良くしたのか、早々に解放してくれた。最後に突き飛ばすのを忘れずに。よろめきながらも、なんとか踏みとどまって、いじめっ子たちが高笑いをしながら去るのを、目を凄め、見送った。自分と目が合った者がそそくさと立ち去るのが端に見えた。
 
そう、自分の異能は父と同じ、殺傷性が高い、大鎌を召喚できるものだった。ただ、父のものと違う点があった。あの大鎌の柄は白金だったが、自分のものは黄金。刃がついていない反対側の柄の先端には、自分が望めばエネルジーア弾を出せる銃口がついていた。
父のものと違う点があるにせよ、同じような形をしている以上、暴走しないという保証はどこにも無い。そのことを、すっかり失念していた。
今後は人を、近づけないようにしよう。父のようにならないためにも。そう心に決めた。
 
 
の、はずだったが、その人を寄せ付けないアウラは、16歳の時に簡単に打ち破られることになる。
「はい!お菓子どうぞ!」
「は?あ、ああ・・・・・・」
(もらってしまった・・・・・・)
訓練所でのベレッタの射撃練習と慣れない細身の剣を使った接近戦演習の後、少々疲労していて完全に油断をしていた。一度貰ってしまったものをつき返すのは失礼だ、ということで、仕方が無く持って帰って食べることにした。
お団子から出ている桃色の髪を揺らしながら、自分にしたように、訓練を終えた士官学生に、お菓子を配るその様を見て思いふける。
(それにしても・・・・・・ベッラだったな・・・・・・)
 
お菓子をくれたベッラは結構な有名人だったので、訓練が被る日にちは容易に知ることができた。その日もベッラはお菓子を配っているようだった。大体配り終えたところを見計らって声をかける。
「おい、そこの桃色お団子の女」
ベッラはきょろきょろと辺りを見て、自分以外に桃色の髪をしている人がいないとわかると、こちらに向き直った。
「えっと、私のこと?」
「ほら、これ」
可愛く包装した子袋を無愛想に突き出した。
「え?これ、なぁに?」
戸惑いながらも受け取ってくれた。
「マカロンだ。・・・この前、菓子をくれただろ。美味かったから、そのお礼だ」
(ああああ、折角のベッラに向かって俺は、なんて口を・・・・・・っ!)
心の中でのた打ち回る。
「わぁ、ありがとう!そういえば、自己紹介まだだったね!私、春 桜桃(チュン インタオ)って言うの。よろしくね!」
「あ、あぁ、俺はルーカ・フェリッリだ」
(また、やってしまった・・・・・・)
マカロンを受け取ってもらえた安心感で油断していた。これ以上関わりたくないと思っていたのに、自己紹介までしてしまった。
(まぁ、ベッラの名前を知ることができたからよしとするか・・・・・・)
泰然たる意思を持って、言葉の堰を切る・・・・・・が、
「いいか、それ受け取ったらもう俺に関わる「あ、今日もお菓子作ってきたの!どうぞ!」な・・・え?」
差し出されるお菓子。ごくりと固唾を呑む。
(これ以上は関われない・・・折角ベッラと仲良くなれるいい機会だが、ここはなんとしても回避しねぇと・・・!)
なんとかならないものかと、桜桃に気づかれないよう、視線だけを動かす。
「おー、ルシェお疲れー」
「こんなの全然疲れに入らないよ」
「はは、お前らしー」
(あいつだ!)
いいダシが見つかった。
「お、俺よりも、今訓練終わったあいつ!あの青い頭のやつにあげた方がいいんじゃねぇか!?」
「え?あ、ルシェ訓練終わったんだ。おーい、ルシェー!」
(今だ!)
褒められたことではないが、逃げ足の速さは、いじめられていた時代に身につけているのだ。その俊足を以って、上手く逃げ切ることができた。
(・・・今後は桜桃と訓練が被った時は、全力で逃げよう、そうしよう)
固く誓った。
 
 
のだが、一難さってまた一難とよく言ったものだ。
「はい、今日は気分がいいからあげるよ」
「は?あ、ああ・・・ん?」
訓練後を警戒していたせいで、訓練前は油断していた、が、なんとか受け取らなかった。
「何?受け取れないの?」
見覚えがありすぎる顔が、にっこりと邪悪な微笑みを浮かべている。
(前に、ダシに使ったやつじゃねぇか・・・・・・)
「まさか、僕がせっかくあげようとしているのに受け取れない、そういうのかい?ルーカ?」
「何で俺の名前知ってんだよ!」
「え、桜桃から聞いたんだよ。まぁ、桜桃に聞かなくても君、結構有名だし。その気になれば名前くらい簡単にわかると思うけど?あ、もしかして自分だけが名前知られててフェアじゃないと思った?僕はルシェ・クォーツだよ、よろしく」
冷や汗をかく。自分の本能が、こいつは危険だと告げている・・・・・・。現に徐々に微笑みに邪悪さが増していっている。
「で、受け取るの?受け取らないの?」
凄みに負けた。
「・・・わかった、今日のところは受け取ってやる!でも次はいらねぇからな!もうくんなよ!?」
負け犬の遠吠えのような台詞と共に、お菓子を受け取った。
「受け取ってくれるなら、初めからそうすればいいんだよ。それ、自信作だから。じゃあまたもってくるね、ルーカ」
「グラッツェ・・・ってオイ!次はいらねぇって言ったじゃねぇか!人の話し聞いてたかこのファンクー○!」
聞き捨てなら無い言葉に反論した。こっちはもう関わりたくないというのに!
「ん?聞こえないね!じゃあ僕訓練だから、バイバイ」
「お、おい!」
こちらの言葉を待たずに、人の輪に入っていってしまった。こうなってしまったら、もう自分はルシェに突っかかることはできない。
(○ッツォ・・・・・・この菓子の礼は女性と同じでマカロンで大丈夫・・・か?)
諦めてお礼のことを考えた。
 
後日、お礼のマカロンを渡して早々に逃げてやった。ざまぁみろ。
 
 
こうして、桜桃とクォーツ、自分との、訓練が被った日での、お菓子受け取るか受け取らないかで、攻防が繰り広げられることになってしまった。逃げ足には自信があったのだが、軍人候補生を相手にするのは流石に骨が折れた。5回に1回は捕まってしまう。おかげで、マカロンを常備するようになってしまった。
その日は、共闘され、逃げる暇がないまま捕まってしまった。
その後で帰路についた時のことだった。何かの気配を感じて、咄嗟に身を翻した。気配に敏いのもいじめられていた時代に身につけたものだ。
目の前に桃色が勢いよく通り過ぎ、壁にぶつかった。
「なんで避けるのよ馬鹿!」
「馬鹿はてめぇだろ!何いきなり突進かましてきてんだよ!!」
長い髪を高い位置に結った桃色の髪を激しく揺らすのは、桜桃と並ぶくらいベッラだった。というか、どう見たって姉妹だ。壁にぶつかった額をさすりながら、涙目でこちらを見る様はなかなかのものだった。
いや、そんなことより・・・・・・薄い、布地が。
(ベビードールって言ったか?下着じゃねぇか!こっちは役得だけど・・・いや、そうじゃなくて!)
頭を振る。雑念を追い払う時の癖だ。
「桜桃と、何、話してたの」
「は?」
「だから、桜桃と何を話してたかって聞いてんでしょ、この馬鹿!」
「あぁ?特に何も話してねーよ!」
「嘘!何か話してた!」
ベッラだと思って見とれて、完全に逃げる機会を見失った。ただでさえ、クォーツに散々弄ばれたというのに、売り言葉に買い言葉を何回か繰り返して疲れてきた。もう限界だ。
「あ゛-!うるせぇな!これでも食ってろバッ○ァンクーロ!!」
「えっちょっと!!」
「食べ物で遊ぶなっ!」と親に躾けられたのだが、これは致し方ない。ベッラにマカロンの入った袋を投げ、気をとられている隙に逃げ出した。
 
男子寮についたころには息が上がっていた。門に手をつき、荒くなった息を整える。
首から下げているロザーリオを服の上から握る。父のことを、あの事件のことを、考えているときの癖だ。
(俺は親父みたいになりたくない・・・だから頼む、あまり俺に近づかないでくれ)
そう願うのに、どうして自分は他人と関わってしまうのだろう。
「寮の玄関先で立ち止まって、どうかしたのか」
ほら、また関わってしまった。
「心臓が悪いのか?」
そういえば、ロザーリオはちょうど心臓の辺りにあった。そのせいで、見当違いなことを言われたのだろう。自分を気遣うその声は聞き覚えがあるものだった。
声の主が近づいたのと同時に、ロザーリオから手を離し、顧みる。
飛び込んできたのは右頬の大きな傷、そうだ、彼は・・・・・・
「・・・ベイツ殿・・・」
「憶えて、いたか」
病室で、あの事件の顛末を教えてくれ、握り締めていた父の遺品のロザーリオを届けてくれたその人だった。
「体調が悪いようなら、医務室に行ったほうがいい。軍人は、体が資本だからな」
(もしかして精神的な発作だと思ってんのか?)
確か、フラッシュバック症候群とかいうのがあったような気がする。しかし自分の中では、あの事件はトゥラウマというよりも、反面教師としての部分が強い。だから、人と関わらないようにしているというのに、どいつもこいつも・・・・・・。
「俺なんかに構ってないで自分の子供を構えよ」
「どうして息子がいると、わかった」
(っち、息子かよ・・・・・・じゃなくて!)
頭を振り、ベイツ殿に向き直る。
「あんたぐらいの年齢だと、子供が一人ぐらいいてもおかしくないだろ」
「そうか、それも、そうだな。心配しなくとも、息子との仲は良好だ」
ベイツ殿の菖蒲色の目は、その言葉が真実だと伝えていた。だが、と思いふける。
(心配してねーし!ちょっとこの人、堅物そうな顔をしているし、あまり口数も多そうじゃないし、現に言葉がややたどたどしいから、今のうちに自分の考えをよく話しておかないと、いつか大きな親子喧嘩をしそう、とか思っっていない!)
そんなこと自分が気にする必要は無い。それだというのに何故、こんなことを考えてしまうのか。頭を振り、思考を霧散させる。これ以上余計なことを考える前に、ベイツ殿に背を向ける。
「そうかそれはよかったな。俺はこれで失礼させてもらう」
「医務室にいかなくて、大丈夫か?」
「・・・部屋で休めば、大丈夫だ」
あの時と同じ問いかけに、同じように返した。
 
 
そしてこの時から、桜桃とクォーツとの攻防に負けた後、桜花に、桜桃と何を話していたか詰め寄られるの―「本人に聞け!」と言うと「それは・・・無理!」と返される。まったくわけがわからない―が追加されることになる。17歳の時だった。
 
その日々は、18歳になってすぐに終わりを告げる。士官学校を卒業し、正式な軍人になり、所属が3人とは違う、衛兵になったのだ。あの3人がどこに所属になったかは知らない。そんなものは、自分には、関係、ない。
この歳になると、流石にいじめっ子たちは、1人を除いて、こちらに突っかかってくることはなくなった。その1人も、留年したので、顔を合わすことはなくなった。そのおかげで、教官となったレジット・テイシア殿に「けしからぁんっ!」と怒号と共にしごかれながらも、つかの間の平和を過ごすことができた。
 
その平和も、1年後には崩れ去ることになる。留年をしたいじめっ子が士官学校を卒業し、衛兵に配属となったからだ。
相にも変わらず「人殺しの息子」と罵られるが、そんなものはいちいち相手にしていられないと思い、無視をした。だが、衛兵仲間と仕事上の話をした後、その相手のことを嬲ることがたまらなく嫌だった。そうして、嫌そうな顔をすると、水を得た魚のようになるそいつが、たまらなく――

 
たまらなく、憎らしかった。
 
 

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